終の夏+

       忘れもしない2003年の8月5日。 ちょっとした事件がありました。 

      
 掲示板に 『顔にケガした』 というようなことを書きましたが、詳細についてはあえて触れずにいました。

       書かなければならないことだと思うので、ここらで書いておこうかと思います。

       顔のケガ じつは久作に噛ませてしまったんです。 噛ま『れ』た ではなく、噛ま『せ』た です。

       あきらかに僕が悪かったと思うので。

       今年の夏、とくに7月の冷夏はみなさんもご存知のとおりですが、気温が高くなり始めた頃の8月5日の朝のことです。

       この日はかなり気温が高く、暑いのが苦手なサクは朝からバテ気味で、小屋に入ろうとしませんでした。

       今年から(もっと早くつけるべきだったんですけど)小屋にはエアコンがついていて、サクもその中なら涼しくすごせます。

       が、サクはせまいところが嫌いなのか、この小屋に入るのをあまり喜ばないんです。 昔から。

       でも、こんな暑い日に外にいさせるわけには行かないので(実際、最高気温は34度くらいでした)小屋まで引っ張っていったら、

       サクは小屋の前でごろんと寝転がってしまい、動こうとしません。

       しかたないのでサクの体をまたぎ、胸のあたりを抱え込んで強引に持ち上げて立たせ、小屋の中に入らせようとしました。

       その時です。 僕の持ち上げ方が悪かったせいで痛かったんでしょう。 サクは大きな口を開けて僕のアゴに噛み付きました。

       ガツンッ!という衝撃。 深く突き刺さっているサクの牙。 青ざめる僕。 頭の中で『やばい、やばい・・・・』と繰り返していました。

       ゆっくりとサクをおろすと同時に口を離すサク。

       「やば・・・・、やば・・・・・。」

       ぽたぽたと流れ出る血を手で受けながら水道の所まで行き、傷口を洗いました。

       指先でそっと傷口を触ってみるとぱっくりと穴が開いてます。 右に一ヶ所、左に二ヶ所。

       これは・・・・・、縫わんとダメなんかな・・・・?

       サクを小屋に入れた後、とりあえず傷口には絆創膏を貼り付け、会社に向かいました。

       絆創膏では間に合わないとは思ったんですけど、できれば大事にはしたくなかった・・・というかもみ消したかった?

       会社に着いて、いつもどおり掃除をして、ミーティングをしていたら、「おい、血が流れてるぞ!」と先輩の声。

       やっぱり絆創膏ですむことではなかった・・・・・・?

       何があったのかを説明。 『あの久作が?!』というリアクション。 これが嫌だったんです。

       サクのイメージが・・・・・。 先日サクとまろの写真をみんなに見てもらったばかりなのに。

       「お前、すぐ病院に行くぞ。」 と社長に連れられ近くの病院に行きました。

       血を流しながらしばらく待たされた後、傷口にガーゼをあてがいでっかい絆創膏で固定。

       んで、破傷風のワクチンとやらを注射するということで待っていたら、

       あまりに遅いのでわざわざ社長が様子を見に来てくださったので状況を説明。

       ちなみに・・・・・このワクチンとやらは当日、一ヵ月後、半年後の計3回うつと、5年間くらい免疫ができるそうです。

       釣りで山の中を歩き回る僕にとってはちょうどいいプレゼントですね。


       注射が終わり会社に帰らないといけないんだけど、仕事中に迎えに来てもらうのは申し訳ないので歩いて帰ることにした。

       約1kmくらいの道のりだけど、とくに体調が悪いということもないし。

       交通量の多い国道沿いを、サンタクロースばりに顔半分が白い僕はのこのこと歩いた

       会社が見えてきた頃、玄関先でたまたま社長と奥さんが話をしていて、歩いてきた僕を見つけた奥さんの

       「あぁっ! 歩いて帰ってきたよ! 注射したばっかりなのにあの子は・・・・!」という声が聞こえた。

       「今日はもう帰って寝てな。」 と社長に言われ、申し訳ないけどそうさせていただく。

       サクのところに立ち寄り、小屋の中に入った。

       ふつうに出迎えてくれるサク。

       「おめ〜、痛かったぞ〜。」 とサクの頭をがしがし撫でる。 でも、噛んだサクのほうがもっと痛かっただろな。

       うぬぼれた発言ですが、僕を噛んでしまったサクが痛くないはずがない。


       翌日、輪郭が変わるほどアゴが腫れてしまいました。 この日も病院に。 昨日とは違う先生が診察。

       「犬に噛まれたんだって? 種類は?」

       なんでそんなことを聞くの? と思ったけどどうやら犬好きらしい。

       「グレートピレニーズです。」 と答えると、「ええ? あの犬はおとなしいでしょう? じゃれついたんだな。」

       そうなんです。 と心の中で何度もうなずいた。 そういうふうに思ってもらえてうれしかった。


       翌日も病院へ。 この日は美人女医って感じの先生だった。

       「犬に噛まれたんですか〜。」 といいながら傷口を診る先生。

       「うわ〜、痛いでしょう?」

       「いえ、傷は痛くないです。」 ほんとに痛くなかったです。

       噛まれたときも牙が刺さった痛みより、アゴを殴られたような痛みが大きかったですから。

       すると、ぐいっと傷を押さえ、

       「痛いでしょう〜?」 と改めて聞く先生。 そんなもん痛いに決まっとるがな。


       こういうケガで病院に行くのって初めてだったもんでけっこう楽しかったです。



       そしてサクとの別れ。 傷は治りましたが、傷跡はくっきりと残ってます。

     顔の傷
        こんな感じ 正面から見ると見えない
        横から見るとけっこう目立ちます


       じつは僕が噛まれた数日前、弟もまったく同じシチュエーションで顔を噛まれていました。

       正確にいうと噛まれたのではなく、牙があたった程度ですが。 上の唇にうっすらと傷跡が残っているようです。


       都合のいい捉え方といわれるかもしれませんが、この傷はサクがそれぞれに残した『絆』のようなもんだと思ってます。

       かなり恥ずかしいこと言ってますが、あえて。

       自分が存在していたことを僕らの身体に刻み、これからも一緒だという意味のメッセージが込められているというような・・・・・・。

       この傷跡がこのペットコーナーの主旨、『サクは僕の隣にいる』 という根拠です。







                                       2003年 12月 27日 管理人




                              終の夏++