バット職人のもとへ(こだわりのバット)


2004年03月22日
今の時代バットといえば『金属バット』と答える人が大半だ。
しかも草野球、中学、小学の野球の試合を観ても、木製バットを
振るバッターは激減している。
プロ野球選手ならともかく一般草野球では既製品のバットしか振れないのが現実。

私は自分の木製バットを製作してもらうために、関東のあるバット職人さんのもとへ訪ねた。
ここのバット製作所は大手メーカーとは違い個人事業として、スポーツ用品を
仕入・販売をするかたわら木製バット製造を手がけておられる。木製バットは主に
関東の高校野球部へ販売。あと一般軟式用のバットを全国から受注生産されている。
この社長はコマーシャリズムを嫌われ、一般軟式木製バットに関しては特別受注生産型。
以前は元阪神・掛布選手や元巨人・江川選手などの高校時代のバットを造られていたとの事。


ご無理を言ってお邪魔する事になり、約半日色々なお話や体験談をお聞きし
そして私用のバットの要望を聞かれ製作に。

●私の要望
  @短打型(アベレージヒッター用)
  A長さ;840ミリ
  Bグリップ太さ;25ミリ
  Cヘッド太さ;66ミリ
  Dヘッドより先端部をしぼる;ヘッド先端60ミリ
  E重量;約770g〜約800g
  Fグリップエンドは分厚くする

上記のように要望をお願いした。完成イメージのバットは私が高校時代
使用していたSSK製の「ウィング・フライト」というバットをモデルとした。

いよいよ店裏の工房(工場)へ向った。
木工旋盤ロクロが3台あったが、そのうち2台は木屑に埋もれて稼動していない。
木製バット全盛期には職人が数人いらっしゃったとのことだったが、金属バットが
市場に出始めてから職人も減り、今は1人でこの1台でバット造りをやっておられる。

材料はすでに数ヶ月間乾燥済みのタモ材が用意されてあった。
プロの硬式用はアオタモ材といってまた材質は違う物。(タモとアオタモは違う)
乾燥済みのタモ材は角材で乾燥されるのではなく、無駄なぜい肉を削って
乾燥されていた状態だった。あらかたのバットの原型の形になっていた。

いよいよロクロに材料をセットされ回転し始める。丸バイトと呼ばれる丸ノミを
匠に扱い、あれよあれよという間に削られていった。
私も体験させてもらったが、なかなかうまくは削れない。回るバット材にノミをあて
ながら右から左へスライドさせてヘッド部を削ったが、所詮素人の削りだ。
特にグリップエンドからグリップ部にかけては至難の技がほどこされた。
経験が物語る削り方に、いとも簡単に私のイメージしたバットの姿が見え始めてきた。
削ってはノギスをあてながら入念にサイズのチェック。そして私に持たせ素振りを
させては何回も削っていかれた。
仕上げは平バイトとよばれる平ノミで削り、最後はペーパーで木地研磨をする。

木の色をいっそう白く引き立たせる為に塗装前に漂白をされた。

塗装は自然乾燥のため数日かかるとのことなので、この日はここで
出雲へ帰ることにした。塗装完成後送っていただく事にした。

もう1本追加注文と無塗装のバットを1本追加し合計3本手元に届いた。


今やプロ選手しかオリジナルバットを手にすることができない。
金属バットは既製品の物しかないのでもってのほか。
木製バットは自分にあったかたちに出来る利点がある。
草野球の楽しみがひとつ増えたのも、この職人さんとの出会いからだ。
身近にこのような職人さんがいれば、私は小学から自分にあった木製バットを
振って、もっと納得いった野球人生を送っていたことだろう。

また夏にお会いする約束をしているので、今度はもっともっとこだわりの
あるバットを造ってもらおうと思う。





2004年03月22日
●バット職人さんに造ってもらった木製バット
 サイズ/6.6センチ 84センチ
 カラー/ナチュラル
 素材/タモ材



2004年03月22日
●ヘッド部
 こだわりのある特徴;先端を6センチにしぼった



2004年03月22日
●グリップエンド部
  製作年月日を入れてもらった
   グリップ部は無塗装
   文字入れしてもらったエンド部はもちろん塗装済み





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